R.I.P.
      2014 / 07 / 22 ( Tue )
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      [photo by Darren Johnson]


      では鳥達よ、喜びの歌をうたえ。

      若い羊は小太鼓にあわせて跳ねおどるがよい。

      われ等も心において君達の群に加わろう。

      笛吹くものよ、遊びたわむれるものよ、

      心のすみずみに、今日五月の喜びを感じるものどもよ、

      かつてはあれ程に照り輝いた光が

      いまや永久に視界から消え去ったとしても、

      草に輝きがあり、花に栄光の宿っていた

      あの時を呼び戻すことが出来なくとも、それがなんであろう。

      われ等はそれを嘆かず、むしろ後に残ったものに力を見出そう。

      かつて存在したがために、永久に存在するであろう、

      原始の共感に、人間の苦悩から湧き上る心、なごめる思いに、

      死の彼方を見透す信仰に、哲人の心をもたらす年月に。

      彌生書房刊「世界の詩37 ワーズワース詩集」(前川俊一訳)より

      原文:Intimations of Immortality from Recollections of Early Childhood
                           by William Wordsworth







      昨日の朝がた、愛すべき犬が18歳の生涯を終えました。

      痛みなく、眠るように、安らかに。

      最愛のママに看取られ、住み慣れたおうちで最期の瞬間を
      迎えることができました。

      ママは、その時愛犬にしてあげられる、最高のことをこれ以上ないタイミングで
      成し遂げました。

      これほど恵まれた子は、そういないと私は思います。

      思うところあり、最後のお別れには行きませんでした。

      そのかわり、まぶたに焼き付けておこうと思います。

      牧場を、弓のようにしなやかに、力強く駆け抜ける生き生きした美しい姿を、

      刈り込んだ牧草の上で(時に馬のボロの上でも)、

      ゴロンゴロンしてご満悦の表情を、

      その生来の穏やかな佇まいと優しい目を。



      もし天国があるとしたら、かつて彼女が大いに楽しんだように、
      広大な自然の中を思い切り走り回れるところであってほしいです。


      野うさぎやリス、鹿もいることでしょう。
      のんびり草をはむ羊や馬も。
      小川も森も緑の丘も。
      もう好きなだけ走れます。

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      [photo by Edward Dalmulder]



      彼女との出会いがなかったら、ママは小動物の獣医師を目指そうとは
      思われなかったかもしれません。

      一頭の犬と出会い、

      長い年月を共に過ごす中で互いにかけがえのない
      唯一無二の存在となり、

      その相棒の数々の病と老いに向き合い、

      心を痛めつつQOLに心をくだき、

      そして最期の瞬間も共に在り・・・。


      犬を全身全霊で愛し抜くことのできる方が、
      獣医師の道を選んでくださったことを
      私は心から感謝します。
      その道を選ぶ大きなきっかけとなったであろう、その子にも。


      ママは、獣医師としてこれからも多くの犬たちの治療に携わることでしょう。

      ママが今後動物たちになさる一つ一つの行為、思いが最愛の犬に繋がっていく。

      うまくいえませんが、そう思えてなりません。


      「すべての命は、必ずどこかで繋がっている、繋がっていく。」

      かつて最愛の犬を亡くした私に、こう言葉をかけてくださった方がおられますが、
      当時の私は全くぴんときませんでした。


      でも、愛馬を亡くした知人が(その方の馬も先生の患者でした)
      貸してくれた「みどりのゆび」という短編小説を再読した時、
      先の方がおっしゃった意味がなんとなくおぼろげに輪郭を帯びて
      きた気がしました。



      「植物ってそういうものなの。ひとりのアロエを助けたら、これから、
       いろんなね、場所でね、見るどんなアロエもみんなあんたのことを
       好きになるのよ。植物は仲間同士でつながっているの。」

      一気にそう言うと、祖母は眠った。

      そうか、こうやってつながりができていくのか、もうアロエは私にとって
      どこで見ても見る度にあったかいものや優しいものにつながっていく。
      どのアロエも私には等しくあの夜に植え替えたアロエの友達だ。
      人間と変わらず縁ができていく、こうしていろいろな植物と私はお互いに
      見つめあっていくのだ、そう思った。

                  吉本ばなな著 『みどりのゆび』より



      一頭の犬になしえたことは、すべての犬につながっていく。

      そうやって、私たちの犬も生き続ける。


      先生、私は最近、こう思うようにしているのです。



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      Lady Spec, R.I.P.

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