中秋の名月に寄せて
      2013 / 09 / 22 ( Sun )
      曼珠沙華(マンジュシャゲ)。

      「天上の花」という意味があるそうな。

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      花言葉は 「再会」  「想うはあなた一人」  「また会う日を楽しみに」
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      父によれば、地下の球根で増える曼珠沙華は、咲く場所が
      毎年ほとんど変わらないのだとか。
      一説によれば100年にわずか数センチ程度しか移動しないそうです。

      「いにしえの人たちも、同じ場所で曼珠沙華を目にしていたのかな。」と父。


      だからかなぁ、曼珠沙華を見るたびとても懐かしい想いが去来するのは。

      曼珠沙華の間から、ひょっこりきつねの子が
      顔を出してもおかしくない、そんな気にさせる曼珠沙華。


      ああ、今年も夏が終わったんだなぁ・・・・。



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      19日は、中秋の名月でした。






      それはチームウィルを立ち上げる前のこと。


      仕事を終えた私の携帯に、メールが入りました。

      タイトルは「中秋の名月」


      「今、厩舎の窓からお月見しています。
       来る途中でお月見だんごも買いました。
       こうして息抜きしつつ看病していますので
       心配しないでくださいね。
       本当に辛い時には遠慮なくヘルプお願いしますので。」


      送り主は、アグネスのオーナー、Uさんでした。

      9月に入り、とうとう自力起立できなくなった愛馬の看病を
      毎日続けておられる最中でした。


      お仕事を終えると、車を飛ばして牧場に。
      寝袋とご自身の夜食を持ち込み、早朝まで愛馬の傍らで
      過ごす毎日。

      雨の日も強風の日も毎日欠かさず、11月に愛馬が
      旅立つその日まで、その生活は続きました。


      深夜であろうと、愛馬がオシッコをすれば濡れた寝藁を片付け、
      ボロ(ウンチ)をすれば、よかったよかった、がんばったね。と
      声をかけてボロ拾い。
      そして、必ず排泄時間とボロの状態を記しておられました。


      臀部や腰にできた褥瘡を洗浄、消毒し、傷が早く回復するようにと
      患部にレーザーを毎日当てていました。

      立腫れした後肢をマッサージし、顔や全身を濡れタオルで
      ふいてあげ、定期的に体温測定。
      ボロの出が悪くなると、お腹に聴診器を当て、腸の動きを
      確認したり、お腹をマッサージしたり、獣医さんと
      連絡が取れないときは、やむなく石鹸水をつけた手を肛門に
      入れボロが出るようご自分で促すこともされていました。
      (特に厩舎住まいの馬にとって、疝痛(腹痛)は命にかかわります)


      私は様子を見に夜の牧場に立ち寄るたび、アグネスは無事だろうかと
      ドキドキしながら一番奥の馬房に向かっていきました。

      暗い厩舎にともったランプの明かりとアグネスのブルルルという鼻息、
      そしてUさんが愛馬に愛おしそうに話しかける声に、
      (よかった生きてる!)とホッとしたことが、つい昨日の
      ことのように思い出されます。



      アグネスと私の愛馬とは同じ厩舎で暮らす仲間でした。
      当時牧場で暮らしていた馬はアグネスと私の愛馬のみ。

      アグネスが倒れて最初の1週間は、私も仕事を定時に切り上げ、
      夜間、看病のお手伝いをしました。
      が、たった1週間で私はギブアップしました。
      日中眠気に襲われ、仕事に集中できません。
      Uさんにそのことを伝えると、

      「はい、わかりました。
       私もこの1週間でだいぶ看病のコツがつかめてきましたから
       一人でも大丈夫です。 1週間、本当にお世話になりました。」


      一番しんどいはずのUさんは、そういって笑顔をみせてくださいました。

      思えば、私はUさんの笑顔しか記憶にありません。

      一番つらい時期においても、そういった表情を周囲に見せたことは
      なかったように記憶しています。


      「こうして、寝泊りして愛馬の面倒を看させてもらえるだけで、
       本当にありがたい。一般の乗馬クラブだったらとても
       許してもらえなかったもの。」


      そういって、嬉しそうに笑うUさんの笑顔を、声を私は
      生涯忘れません。


      Uさんは、愛馬を看取った翌年、病が発覚し闘病の末亡くなりました。

      今月末は、彼女の5回目の命日です。
      そして今年の末で、私は当時の彼女と同じ齢になります。


      経営の厳しさ、難しさを身を以て体験されていたUさん、
      もしチームウィル立ち上げをお知りになったら、
      どんな言葉が返ってきただろう、と思うときがあります。


      私は折に触れ、Uさんに、こう問いかけられている気がします。


      「いま、本当に、誰かの役に立てていますか?」



      その問いに、胸を張って「Yes!」と答えられる仕事をしなければ
      いけないと、自らに言い聞かせる毎日です。
      とはいえ、まだまだ道遠しな現状ですけれど・・・。





      「馬は素晴らしい人とのご縁をもたらしてくれる。」

      これは知人の言葉ですが、全く同感。

      愛馬、そして縁あって触れ合った馬たちに感謝しつつ。



      Uさんの命日を迎える頃には、彼女の最愛の馬が遺した
      コスモスも満開となることでしょう。
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      たくさん、たくさん咲くといいな。

      彼女たちがこよなく愛した牧場に。









       
       
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