愛馬DDのこと
      2013 / 04 / 06 ( Sat )
      ※今日の記事は、DDを知る数少ない知人と自分そして
      馬好きの方に向けて 書いたものです。
       長い長い愛馬自慢ですので、どうか馬にご興味のない方は、
       スルーいただけますようお願い申し上げます。






      私には、ダイアモンドダスト(通称DD)という愛馬がいます。
      出会って15年になりますが、自分の馬にしたのは7年前。
      推定年齢30歳以上のおじーちゃん馬。


      若かりし頃、サラブレッドとしては大きめの体躯と素質を見込まれ、
      当時、内国産馬の調教名手とされた故星子友宏氏にセントジョージレベルの
      調教を受けた馬場馬。
      でありますが、これぞサラ中のサラ!なパッパラ気質。
      もし最盛期のDDに、私のような超絶へたっぴが跨ったりしたら、
      持って行かれるは弾け飛ぶはで危険極まりなかったことでしょう。


      在籍していた乗馬クラブではじめて会った15年前、
      療養中でいらしたDDのオーナーさんのご好意で、主に馬場馬術志向の
      会員のレッスンに配馬され人気を集めていました。

      私はDDのすらりとした白い体型も、どこか老獪で信用ならない性格・
      横顔も、乗り心地もなにもかもあまり好きにはなれませんでした。

      でも、はじめての競技会や試験、部内大会など節目節目に
      私の相棒役を務めてくれたのがDDでありました。

      特段思い入れもない馬は、偶然にも私がその後移籍したクラブに
      ひょっこり転厩してきました。
      当時のオーナーさんがDDを、管理・調教手腕を見込んだ馬場馬術専門の
      クラブに寄託されたのです。

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      [photo from 乗馬日和]
      ※お写真の騎乗者は、フォレストママさん。


      DDはここでも、会員さんに愛され、クラブにも大事にされました。
      初心者には安心感を、中、上級者には馬場馬術の醍醐味、奥深さを教える
      ことのできる優秀なteaching horseとして、20歳を超えてなお
      現役で多くの人々を背に乗せ活躍するハッスルおじーちゃんでした。

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      [photo from 乗馬日和]
      DDと私(2004年1月 ジモネ女史のクリニックにて)



      私がDDを、無理をお願いしてクラブから譲り受けたのは、今から7年ほど前。
      長年「無事是名馬」で通してきたDDの肢の調子が、クラブの手厚いケアにも
      かかわらず、おもわしくなくなってきた頃でした。
      お譲りくださったI先生には、ただただ感謝です。


      かつて苦手に感じていた相手は、その頃では私の乗馬ライフにおける
      一番の昔なじみになっていました。
      縁とは異なものですね本当に。


      平成18年、手入れの行き届いた牧草地が広がる牧場で、
      ありったけの愛情を注いでくれる優しい牧場主(通称おじさん)
      のもと、DDのご隠居生活がスタートしました。

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      大好きなおじさんと。                   2011年1月4日撮影



      イタリアン、オーチャード、チモシー、クローバーなどなど牧草地でとれる
      多種類の新鮮な牧草を、ほぼ1年中口にすることができました。
      青草が取れない冬の間は、おじさんが夏場にせっせと刈り取り、天日乾燥して
      ごっそり貯蔵してくれていた乾草牧草に多種穀物をスペシャルブレンド。
      加えてこの時期、おじさんのご親戚の農家が毎年食べきれないほどの人参を
      馬たちのためにトラックで運んでくださいます。
      毎日毎日どれだけの人参を食したことでしょう!


      日中は広い放牧地を独り占めしてサラダバー三昧。
      贅沢なことに、寝藁もホームメイドの乾草牧草!
      ゆえに食いしん坊のDDは、夕飼い後、たっぷり投げ込まれる乾草青草を
      完食し、夜の間に寝藁までむしゃむしゃむしゃ・・。
      だから、ボロ(ウンチ)もたっぷり。
      老いてなお、「パッパラ気質」も健在で、一人馬房や放牧場に取り残される
      ようなことがあればもう大騒ぎ!
      フガフガしながら、馬房で一人ピアッフェを繰り出します。


      さぁ、夕飼いの時間。厩に帰ろ。
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      馬房には、おじさんお手製スペシャル夕飼いが既に用意されています。


      おじさんの言うことは、なんでもよく聞くDD。
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      広い放牧地にいても、おじさんの口笛で飛んでくるほど。


      本当に「無事是名馬」を地でいく馬でした。
      入厩してまもない頃、もともと持っていた蟻洞が悪化し、重度の蹄葉炎を起こして
      獣医さんと装蹄師さんのお世話になった他は、(ちなみに4か月程度で完治)、
      定期予防接種以外に医療チームのお世話になることなく、貧乏オーナーは
      本当に助かりました。(もちろん牧場の手厚い管理あればこそ!!)
      削蹄は、おじさんが確かな技術で対応くださり、DDの白蹄は
      いつもすっきりキレイでした。

      本当に、私もDDも素晴らしい環境に恵まれた幸運者です。
      おかげさまでのどかで恵まれた環境の中、
      穏やかに余生を送らせてあげることができました。

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      DDは、2013年4月4日午後4時頃、永眠しました。

      同日午前2時頃、馬房で大きな物音がし、おじさんが駆けつけると
      DDが横たわっていたそうです。

      息子さんとなんとか立ち上がらせようと奮闘し、また
      DD自身も何度も何度も起き上がろうとがんばったものの、
      30歳の体は気力についていけませんでした。

      毎日欠かさずしていた放牧場での砂浴びを1月に入って
      しなくなったと聞きました。
      一度横になったら最後、自力で立ち上がれないことをわかって
      いたように思う、とおじさん。
      砂浴びをしなくなったDDを見て、(この夏を越せるかどうか・・・)
      何心そんな気持でいたそうです。

      当のDDは、その後も相変わらず食欲旺盛、風邪一つひかず、
      元気いっぱいに放牧生活を謳歌していましたが、ここ2日
      続いた雨で馬房生活が続き、立ち疲れた足を休めようと
      横になったのかもしれません。


      4時半に電話を受け、東京から急いで駆けつけた私は、数時間後
      DDを安楽死することを決めました。
      強心剤注射やその他延命処置は望みませんでした。
      それらを行ったところで、DDが元の生活に戻ることはもう無理だと
      私にもはっきり見て取れたからです。

      息づかいや表情に、フィジカルな苦しみ・痛みがあるようには感じられず、
      腸の動く音もしっかり聞こえてきます。
      つい先ほどしたと思われるボロは、いつもどおりとってもよいものでした。
      生きる気力は衰えず、目には力がありました。
      ガンガンガン!馬房の壁を力強く蹴ります、何度も何度も。
      後肢の蹴りの強さに、さすが元馬場馬だ、と思いました。

      この歳まで病気一つせずがんばってきたのだから、このまま
      自然に逝かせてやれないものか・・・最初はそんな気持ちでした。
      でも、何度も何度も立ち上がろうと四肢をバタバタさせるDDの姿に
      馬にとって「起立できない」状況がどれほどのストレスか思い至り
      早く解放してあげよう、と心を決めました。
      といいつつ、必死にもがくDDの傍らで、何もできずにただ声をかけることしか
      できない状況が辛かっただけなのかもしれません。

      7年間、可愛がってくれたおじさん、おばさん夫妻と私に見守られ、
      DDは麻酔その他薬剤により息絶えました。苦しみは一瞬でした。


      DDは生きたかったのだと思います。
      それにストップをかけたのは私です。
      思うところは、たくさんあります。
      でも、もし私が自分の決断を悔いたりしたら、
      DDは浮かばれない、そう思うようにしています。

      仕事を言い訳にお世話は何もかもおじさん任せで、めったに会いにも来ない
      無責任オーナーでしたが、DDは紛れもなく私の馬でした。
      生まれてはじめて、大切な動物の最期に立ち会うことができました。
      でもやはり、命ある間にしてあげられたことがすべてなのだ、と
      動かなくなったDDの馬体を拭きながら後悔を噛みしめました。


      翌日の朝、おじさん、おばさん、息子さん、お嫁さん、
      家族総出でDDを見送ってくださいました。

      驚いたことに、DDの馬体には擦れてできた擦り傷も、皮膚の破れも全くなく
      綺麗な体だったそうです。
      四肢に腫れもなく、すっきりしていて、数日前に削蹄したばかりの蹄も
      とてもきれいでした。
      最後のボロも、本当にいつもどおり良いもので、疝痛がなかった証拠だと
      みなさん涙しつつ安堵されていました。

      最後の最後まで、本当にあっぱれな馬でした。
      ヒト年齢に換算すれば100歳近い高齢馬でしたが、けっして
      ヨボヨボのおじいちゃんホースではありませんでした。

      「気の若さ、強さがあったからこそ、ここまで元気に長生きできたのでしょう。」

      最後の処置をしてくださった獣医さんの言葉です。


      どうです、私の馬ってすごいでしょう!!


      そんな気持ちで今日の記事を書きました。

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      クラブを転々とする間に、馬の健康手帳が2度紛失。
      この生年月日も不確かなもの。




      誠に勝手ながら、メール、お電話、郵送問わず一切のお悔やみを
      ご遠慮させていただきます。
      そのかわり、生前のDDをご存じの方にお願いです。
      ごくごくたまにでも、元気なDDの姿やエピソードを
      そっと思い出していただけると、これほど嬉しいことはありません。
      きっとそれがDDの、最高の供養になるような気がしています。


      最後に、DDに愛情と関心をお寄せくださったすべての方に、
      心から感謝申し上げます。

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