犬の性格と遺伝子に関する研究いろいろ
      2012 / 02 / 13 ( Mon )
      1週間ぶりの更新となってしまいました・・・・。
      前回に続き、犬の遺伝子がらみの話題です。


      日本においても、犬の性格と遺伝子に関する研究が進められています。


      東京大学総合文化研究科 長谷川研究室では、まだまだ科学的に解明されていない
      「犬のココロ」を知るための、ちょっとした実験に協力いただけるワンちゃん&
      飼い主さんを募集中だそうです。

      調査は、飼い主さん宅で行い、所用時間は1時間半~2時間。
      参加対象は、都内在住の原則1歳以上のワンちゃんで犬種は問わない
      そうです。(もちろんMIX犬も歓迎)


      実験内容は以下の3つ。

      (1)DNA採取(専用の綿棒でよだれを採取するのみ)
      (2)パズル遊び(おやつ探し)
      (3)心拍測定


      昨年の7月、ベニーも実験に協力させていただきました。

      当時、まだ生後4ヶ月齢のパピーでしたが、サンプル数の少ない大型犬、
      かつチーム・ウィルが研究室のある駒場東大のすぐ近くだったこともあり
      お越しくださいました。

      まず、飼い主が愛犬の性格に関するアンケートに答えます。
      (あくまで飼い主の主観でOK)


      そして「DNA採取」
      IMG_4621 (2)
      遊びながら、サッと専用の綿棒でサンプリング。
      (後日、DNA解析結果が郵送されてきます。)



      お次は、「パズル遊び(おやつ探し)」
      IMG_4645 (2)
      板の上に置いたタッパーの中にフードを何粒か隠します。
      最初はタッパーを固定せず、中のフードを何度か探し食べさせてから、
      いよいよタッパーを固定して実験開始。


      犬がおやつ欲しさに、パズルと格闘する時間・反応を観察します。
      IMG_4649 (2)
      さっさと見切りをつける子、すぐに飼い主さんや研究員に助けを求める子、粘り強く
      タッパーと向き合う子・・・反応も犬ごとにさまざま。

      ベニーは、一度もヒトの方に顔を向けることなく、2分以上一人で動かぬタッパーを
      ガリガリしていました。

      そんなベニーの様子に、集中力があり、自立した性格が見て取れる、とコメント
      いただきましたが、子犬ゆえの行動である可能性も多分にあるとのこと。


      通常(成犬の場合)、3つめの実験は「心拍測定」。
      ヒト用の簡易式測定機を体につけ、外れないようその上からTシャツを着せて
      飼い主さん、研究員それぞれと遊び、心拍の違いをモニターします。
      (犬の体に負担になることは一切なし)

      残念ながらパピーの心拍数はデータとしての信頼性に乏しいため、
      代わりに別のちょっとした実験をしてくださることになりました。

      7種程の多様な形状、タイプのおもちゃを一列に並べ、ベニーがどのおもちゃで
      どのくらいの時間遊ぶかを観察しました。
      IMG_4624 (2)
      この実験から、好奇心、集中度、執着度が見て取れるのだとか。


      ベニーは、ひとおとり全てのおもちゃを試し、
      制限時間の5分を超えても飽きずに熱心に遊んでおりました。
      IMG_4636 (2)


      優しいお兄さん、お姉さんにたくさん撫で撫でしてもらい、
      おいしいおやつもごちそうになり、
      目新しいおもちゃでこころゆくまで遊んだベニーは、
      実験後、すっかり満足げな表情でバクスイでした。
      IMG_4661 (2)



      実験から約4ヶ月後、ベニーの性格を偏差値化したものと
      DNA検査(イヌの性格や行動に影響を与えると考えられている
      遺伝子多型)の判定結果が郵送されてきました。
      IMG_6482 (2)
      (右)アンケート内容などをもとに、ベニーの性格を「社交性」「好奇心」「神経質」
      「衝動性」「攻撃性」の5つの面で得点化したもの。
      (得点は、日本で暮らす犬約200頭の偏差値で、平均は50)

      (左)遺伝子多型(固体によって異なる遺伝子のタイプ)の判定結果


      えてして愛犬の性格は飼い主さんが一番よくわかっているものですが、
      それを裏付ける結果が数値として出てくるのもなかなか面白いです。
      (といっても、この結果はあくまで相対的、暫定的なもので参考程度に
       とらえておく必要がありますが)

      「実験に協力してあげてもいいよ」という飼い主さんは、
      東京大学大学院総合文化研究科 長谷川研究室の下記連絡先に
      メールでお問い合わせされてみてください。
      (※たしか3月まで調査を行う予定と伺った記憶ありですが、
       もし既に終了してしまっていたらごめんなさい!)

      連絡先: konno★darwin.c.u-tokyo.ac.jp
           (★を@に変えてください。)


      数年前にも、麻布大学伴侶動物学研究室で「イヌのココロ」を知るための
      実験モニターを募集されていましたが、研究室のある相模原市まで犬を連れて
      出向かなければならず、断念しました。
      その点、今回のような自宅訪問型は移動に伴う負担・手間がなく助かります。

      (以前は、長谷川研究室においても、東大に出向いていただく形で実験を
       行っていたそうですが、見知らぬ場所で犬が緊張し、正確なデータが
       測定できないことから、 犬が最もリラックスできる自宅での実験に
       変更されたのだそうです。納得!)


      今後も犬の性格に関係する遺伝子が徐々に明らかにされていくことでしょう!
      日々研究を進めておられるみなさん、がんばってくださーい。


      以上、7か月も経ってしまってさすがにアレですが・・・遅まきながら
      犬の行動に関する遺伝子調査についての実験体験記(?)でした~。



      (おまけ)
      協力のお礼に、といただいた「東大みやげ」
      IMG_4658 (2)
      風月堂のゴーフル、たいへんおいしゅうございましたm(_ _)m



      ちなみに余談ですが、盲導犬の性格に関する遺伝子研究については、
      北海道盲導犬協会協力のもと、帯広畜産大学等において進められています。
      1頭の盲導犬を育成するためには年間約300万円もの費用と2年の年月を要すと
      される一方、盲導犬の合格率はわずか3~4割
      (最近では、さらに合格率が下がっているとか・・)

      盲導犬を希望するユーザーに安定的に提供できるようになるためには、
      低い合格率を向上させる必要あり!とのことで、イヌの行動特性に関係する
      遺伝子を見つけ、効率的な選択交配や、訓練開始前の若齢期の時点で、
      盲導犬としての適性を把握できるようDNA研究がすすめられているようです。

      北海道盲導犬協会の職員の方に伺ったところ、盲導犬になる前に採取した精子
      ・卵子を冷凍保存し、優良な盲導犬と認められた場合は、人工授精により
      優良盲導犬の遺伝子を受け継ぐ犬をブリーディングしているのだとか。
      (残念ながら、まだ目に見える成果(=合格率の向上)としては表れていないが、
      ブリーディングは長期的視野で取り組んでいく必要がある、との見解でした)


      こちらは、「盲導犬バイオバンク」を構築された帯広畜産大学の
      鈴木宏志教授が日本生殖内分泌学会雑誌に寄稿した記事です。
      ご興味のある方のためにリンクを貼っておきますね。

      盲導犬の生殖工学

      盲導犬の性格を遺伝子レベルで解析し、データベース化する世界初の
      犬のバイオバンクを2007年にスタート。
      全国の盲導犬協会から盲導犬の口腔粘膜や血液の提供を受け、遺伝子を解析し、
      DNA解析結果や保有する凍結卵巣、凍結精子などの情報をユーザー登録した
      盲導犬協会にインターネットを通じて提供し、盲導犬に適した性格の犬を
      繁殖するのに役立ててもらう仕組みだそう。

      優良盲導犬の育成のみならず、ひいては介助犬や聴導犬などの補助犬、麻薬探知犬や
      災害救助犬などの資質向上にも貢献することができる!と鈴木教授。



      行動特性に関与する犬の遺伝子研究の一層の進展が、望まれます。



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