「ワンコの心臓病」について ~竹村先生レクチャーより~
      2011 / 09 / 22 ( Thu )
      「明日アップします!」と宣言してはや4日・・・。
      わーん、狼少年でごめんなさいっ(>_<)

      遅ればせながら、竹村教授の昨年のJBVPレクチャー内容を備忘録がてら
      アップします。
      ちなみに、ハンドアウトはなく、私の書きなぐりのメモがベースですので、
      わかりにくい箇所は大目に見てやってくださいm(__)m

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      テーマ:『ワンコの心臓病 ~6歳を過ぎたらココに注意してください~』
      2010年9月18日
      講師: 日本獣医生命科学大学 動物医療センター(循環器科・腎臓科)
      竹村直行 教授



      犬に多く見られる心疾患は、次の4つ。

      (1)先天性心臓病(心奇形)-純血種にきわめて多く見られる
                             (発症率約0.5%※)
                          -心奇形は、MIX犬には確かに少ない
         ※「0.5%」は、獣医師にとっては、非常に高い確率!


      2)拡張型心筋症    -大型純血種(20㎏超)に多く見られる
                     -人では「バチスタ手術」で知られる難病。


      (3)僧帽弁閉鎖不全症  -小型純血種(10歳以上の小型犬の発生率は
                        約90%!!(程度の差はあれ、これは
                       ものすごく高い発生率!)
                        -大型犬はかかりにくい。

      (4)犬糸状虫正(フィラリア症) 


      今回は、発症率の多い「僧帽弁閉鎖不全症」を中心に説明いただきました。

      僧帽弁閉鎖不全症とは、心臓の弁(バルブ)が、ぶ厚くなり、ぴったり閉じ
      なくなることで、血液の一部が逆流してしまう病気。
      非常にゆっくりと進行し、症状が出ないまま、数年単位でゆっくりゆっくり
      進行するため、飼い主が気づきにくい
      、とのこと。
      2~3歳でかかり、7~8歳で症状として出始めるケースが多いそうです。

      主な症状を、軽症→重症の順に記載すると以下のとおり。

      心雑音(弁の異常による血液逆流。弁がしっかり閉じないため血液が
       漏れてしまう)

      疲れやすい(キビキビ歩かないなど)
       ※飼い主が発見することは少ない。
        少しずつ、数年単位で進む病気ゆえ、毎日見ているからこそ
        気づきにくい。(逆に、数年ぶりに会った人の方が気づきやすい)

      咳が出る(興奮時にのみ出ていた咳が、症状の進行に伴い安静時にも
       見られるように・・・・)
       →ようやくこの段階で、病院に来院するケース多し。

      (ここで先生による、僧帽弁閉鎖不全症特有の咳の実演あり)
       →例えていうなら、魚の小骨などが喉にひっかかったかのような咳。
        「ケハッ!」「カハッ!」  
        ※初期の段階では、興奮時や軽く運動した後に、心臓にちょっとした
         ストレスがかかり、咳が出がち。
         →それが病気の進行とともに、安静時にも咳が出るようになり、
          不眠状態になることも・・・
         (住宅が隣接している場合は、苦情に繋がるケースもあり。)

      呼吸困難(肺気腫

      「肺がむくみ、水が溜まって溺死と同じ原理で、むごたらしく死んで
       行く犬を何頭も見てきた。そんな光景は自分自身も見たくないし、
       家族にも見せたくない! (by 竹村先生)」


      ヒトと動物では、僧帽弁閉鎖不全症の症状は以下のように
      異なるそうです。


      人の症状         犬の症状         猫の症状

      -胸の痛み       -頑固な咳      -食欲不振
      -息切れ         -呼吸困難      -うずくまる
      -冷や汗 etc.                   - 開口呼吸(口ではぁはぁ呼吸)

      ※犬は病気がひどくなるまで食欲が落ちにくい点に留意

      次に、健康な犬と帽弁閉鎖不全症を患う犬の弁の動きや心音の違いを
      エコー動画やレントゲン写真を元に説明いただきました。
      実際に動画や画像を目にすることで、健康な犬の僧帽弁はしなやかな膜であり、
      しなやかに開いたり、閉じたりを繰り返すこと。
      一方、心臓病を患う犬の弁は、腫れて厚みがあり、速く硬い動きであることが
      見て取れました。
      (病気が進行すると、脈拍数も上がる。こうなると、投薬、食餌療法
       が必要な段階に)
       →治療をせずに放置すると、肺がむくみ、最終的には肺気腫を起こし
        犬に大変苦しい思いをさせてしまう。



      そして、飼い主が愛犬の心臓病になるべく早く発見するためには「心雑音
      に注目するのが一番合理的だろうとのことでした。

      ※以下、ご参考までに、ノバルティスアニマルヘルス社のサイトより
       一部引用(心疾患 症例75 より)

      「心疾患の患者では、病態の悪化に伴い心拍数が上昇する場合がある
       ため、安静時心拍数は病態を把握するうえで参考となる。
       しかし、本症例も含め多くの動物では、動物病院での検査時における
       心拍数が緊張およびストレスにより顕著に増加するため、可能であれば
       飼い主に、自宅での安静時心拍数を定期的に測定および記録しておくよう
       指示することが望ましい。(竹村直行)」



      聴診器(お値段は数千円~数十万までとピンキリ)がなくても、
      飼い主が自宅で心雑音を発見できる方法として、犬の左胸に直接耳を
      押し当てて心音を聴く「直接聴診」の紹介がありました。

      (※ちなみに、これはあくまで私個人の意見ですが、自宅使用であれば、
        5~6千円程度の聴診器で十分ことたります。
        ネット購入も可能ですので、愛犬の心臓が気になる方は、ご家庭に
        1本、備えておいてもよいのでは?)


      ここでも心音を実際に聞かせてくださいました。

      正常な犬の心音は「ドックン、ドックン(「ドッ+クン」と2つの音に
      聞こえる)」。
      一方、大きな心雑音は「パンパンパン(干した布団を、布団たたきで
      はたくような速く、せわしない音)でした。

      ※こちらのサイトで、各段階の心雑音を聞くことができます。
       ノバルティスアニマルヘルス株式会社 獣医師向けページ 「心音」
      (上で紹介したパンパンパンと聞こえる大きな心雑音は、最も重症な
        Levine 5または6度の雑音)


      また、病気の進行に伴い脈拍数も上がるケースが多いことを踏まえ、
      犬が一番リラックスしている時に、脈拍数を計ってみるのもよいとの
      ことでした。

      脈拍の測り方:足のつけ根の内側にある股動脈に、3本の指
             (人差し指、中指、薬指)を揃えて軽く当て、
              1分間の脈拍数をチェック。
              15秒カウントして4倍してもよし)

      健康な犬の脈拍はゆっくリズムで「どっくん・・・どっくん」
      安静時は100回/分 以下が一つの目安だそうです。


      【まとめ】
      自宅での、心雑音と心拍の定期的なチェックが早期発見の大きなポイント!
      もし、病気を早期発見することができれば、完治は難しくとも、
      病気の進行スピードを遅らせることができる!

      ○心雑音のチェック 
      -6歳を過ぎたら年に1回は動物病院でチェックを!


      ○散歩時の様子を若い頃と比較する
       
      -「疲れやすさ」はゆっくり進行することを頭に入れておこう。
      -毎日見ているからこそ、気づかない変化に注意。

      ○咳を軽視しない 
      -喉に何かつっかえたような咳に注意


      (治療について一言)

      「はっきりとした症状として現れていない患犬の飼い主さんの中には、
      「治療は、症状がもう少し悪化してからでいい。」と考える方がいる。

       もし、咳が出るまで治療をせずにいた場合、犬は体力を消耗し、彼らの
       QOL(生活の質)は低下する。それでは遅すぎるのではないか?」
       と、早期発見・早期治療の大切さを力説されていました。


      症状は軽度の心雑音のみといった軽症の犬に投薬を開始するメリットを
      カナダとアメリカのケネルクラブ(CKC/AKC)によるキャバリアの
      僧帽弁閉鎖不全症に関するリサーチを参考に説明くださいました。

      【僧帽弁閉鎖不全症と診断されたキャバリアの亡くなるまでの平均年数】

      治療せず・・・・平均4.8

      早い段階にて治療開始・・・・平均6.4

      この「1年半」の差をどう見るか?
      15~20年の寿命の犬にとって、1年半余命が伸びるということは、
      とても大きいことだと思う、と竹村先生。


      治療については、軽症のケースでは、エナ・カルド錠など、軽めの
      血液拡張剤を服用することでラクに血液を送り出すサポートを、
      重症のケースにおいては、肺水腫を治療するのみならず、
      なぜ肺水腫を起こしたか、獣医師が原因を分析する必要あり。
      (原因分析を怠ると再び肺水腫を起こし、犬にまた苦しい思いを
       させてしまうため)

      考えられる肺水腫の主な原因(=肺水腫の予防策)は以下のとおり。

      -心臓病の急激な悪化
      -薬剤の投与忘れ
      -肺水腫を起こす前日に塩分を大量摂取した     など


      最後に、食餌療法について、最も非協力なのは男性である!と断じて
      いました(笑)
      お母さんや娘さんは獣医師のいいつけを徹底的に守るが、お父さんは愛犬に
      せがまれるままについつい人間の食べ物をあげてしまうことが多い、と。

      そのような場合、獣医師はきまって「人間の食べ物を与えないように」と
      注意するが、果たしてそれで十分だろうか?
      「ダメ」と言われただけで、人間は従うだろうか??と疑問視されて
      いました。


      家族(特に男性)の中には、「どうせ死ぬのなら、せめて美味しいものを
      食べさせてあげたい」と考える人もいる。
      そういったケースへの対応策は、本人に病院に来ていただき、
      直接ストレートに意見交換をすることだ、と力を込めておっしゃって
      いました。
      もし、ベストな策がとれないのであれば、犬のために次善の策(ベター策)
      を率直に話し合って見つけていく必要がある、と。

      「自分は、愛犬が美味しそうに食べ物を食べる姿を見ているのが幸せ。
       愛する犬に何か食べ物をあげたい。」と訴えるお父さんには、
       おつまみのお皿に処方食フードをあげてはどうか?
       無理に人間の食べ物をあげる必要はないのですよ、と提案してみる。

      一人ぼっちの晩酌がさみしくて、ついつい犬をつきあわせてしまう
      お父さんもいるかもしれない。
      そういったケースでは、たまには家族が晩酌につきあってあげるなど、
      犬を肺水腫から救うために、みんなで少しずつ協力しあえることを
      模索していこう!とのくだりに先生のアツイ想いを感じました。


      その他、興味深い「こぼれ話し」もたくさん披露されましたが、
      長くなりますので、一つだけご紹介させていただきます。

      ここ数年、アメリカを中心にぶどうやレーズンを
      摂取した犬が中毒により急性腎不全を起こす症例が報告されているそうです。
      死亡率が極めて高く、血液透析を行っても助からないケースが多いとのこと。
      原因物質は未だ不明で、最小摂取量は、体重1㎏あたり 
      ぶどう 19.5g、レーズン 3.11gと少量!


      【結論】ぶどうとレーズンは、一切与えないこと
          仮に、誤って食べた場合は、すぐ動物病院へ連れて行くべし!



      以上、備忘録も兼ねて長々書き出してみました。
      お待たせした割に、まとまりに欠けた文章になってしまいましたが、
      何かしらご参考にしていただければ幸いです。



      ちなみに、竹村先生は「チワワLOVE!!!」なのだそーです(笑)
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      [Photo by marysobrado]



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