おひさしぶりのヘリオット先生
      2011 / 05 / 22 ( Sun )
      今日は、ひさしぶりに自宅でゆっくり過ごしました。
      午前中は、明るい日差しに心地よい風。

      窓の外から聞こえる小鳥たちののどかなBGMに
      隣の雪じろう共々いつしかウトウト・・・。

      が!午後に入るとお天気一転。
      あれよあれよという間に灰色雲が立ちこめ、
      まるでスコールのような雨がザーッ!!!

      はい、こんな日は読書するに限ります。

      変わりやすいお天気がイギリスを彷彿させたか?
      手にしたのは、ジェイムズ・ヘリオットシリーズ。

      ジェイムズ・ヘリオット(本名:ジェイムズ・アルフレッド・ワイト)は
      イギリスの獣医師で、自身の奮闘記をユーモア溢れる秀逸なタッチで
      綴った小説「ヘリオット先生シリーズ」は世界中で愛読されています。

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      ジェイムズ・ヘリオット(1916.10.3 - 1995.2.23)


      ヘリオットシリーズでは、「治療の甲斐なく・・・」といった
      エピソードは私の知る限り登場しません。
      「万事休す!?」というケースでも、なんとか助かるので、
      バッドエンドが苦手な私も、安心して読み進めることができます。

      背後に、どんなに手を尽くしても救えなかった命が数多くあったからこそ、
      救うことのできた命が物語にいっそうの喜びと輝きをもたらしているのだと、
      このシリーズを読むたびに感じます。
      (ヘリオットシリーズは作者の実体験をベースにしたフィクションです)


      さぁて、今日読んだエピソードの中から一つご紹介しましょう!

      患者は、見事な毛並みの美しいコリー君。


      「助けてください!」

      往診帰りのヘリオット先生は、道で息を切らした男性に呼び止められます。
      男性の車には、奥さんと四人の子供たち、そして子供たちの膝の上で
      ぐったり力なく横たわる大きな美しいコリー。

      一目で不自由のない生活をしていることが見てとれるコリーは、今や
      口を大きく開け、舌をだらんと突き出し、その目は何も見ては
      いませんでした・・・。

      ゴムボールを喉に詰まらせ、家族や先生が試みてもなかなかボールを
      引き出すことができません。
      先生が両方の親指を下顎の後ろに当ててぐっと押してみると、
      ボールが口からぽんと飛び出ました。
      が、コリーの目の角膜に反射はなく・・・・。
      心配顔で愛犬を見つめる家族につらい宣告をしなければなりません。

      せめてもう少し何かできないか・・・と肋骨のあたりに手を滑らせてみると
      かすかな心臓の動きが伝わってきました!

      「心臓が動いている!まだ生きているんだ!」

      人気のない田舎道の暗がりで、人工マッサージに人工呼吸などなど
      その場でできる限りのことを試みるヘリオット先生。

      やがて、犬は幸運にも息を吹き返し、よろよろ立ち上がりました。

      (以下、本文より一部抜粋)


      ぼくはやっとの思いで立ち上がり、犬がよろよろと立つのを
      信じられない思いで見た。
      若い父親は犬をそっと導いて後ろの車の方に行き、歓声にむかえられた。
      彼は唖然としていた。
      犬が次第に恢復するあいだずっと彼は
      「ボールがぽんととび出した・・・ぽんと・・・・なんであのやりかたに
       気がつかなかったんだろう・・・・?」とつぶやいていた。
      そして今別れる段になっても彼はまだショック状態から目覚めていない
      ようだった。

      (中略)

      彼はぼくに金を渡し、握手して車を出た。
      それまでずっと車の中にいた彼の妻が去りぎわに手を振ったが、
      ぼくにとって最大の報酬は走り去る車の後ろの窓にちらりと見えた
      子供たちの姿、嬉しくてしかたがないというように犬を抱きしめている
      姿と、遠くなるにつれて夜の空に消えていった彼らの歓喜の声だった。

      「ベニー・・・・ベニー・・・・ベニー・・・・・」


      動物が恢復したあとで獣医はしばしば考える。
      どこまでが自分の治療のせいかと。
      あるいは何もしなくても助かったのかもしれない。
      そういうことは少なくないのだろうが、結局確かなことはわからない。
      しかしそれが疑いようもなく明らかな時には、たとえさほど手の込んだ
      ことをしたわけではなくても、一匹の動物をたしかに自分の手で死の
      瀬戸際から生きた世界へ連れ戻してやったという実感はとても
      嬉しいものであって、無力ばかり感じる毎日の診療のわだかまりを解消
      してくれる。
      すべてこれでよいのだという気になる。


                    『Dr.ヘリオットのおかしな体験 』より

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      [photo by jety]
      この子はボーダーちゃん。イギリスでcollieといえばボーダーを
      指すのだそーです。



      動物を心から愛する人が、動物のお医者さんとして心おきなく動物の健康、
      命を守る仕事に邁進できるイギリスに、私は憧憬の念を禁じえません。



      (おまけ)

      「Dr.ヘリオットのおかしな体験」の原題 “All Things Wise And
      Wonderful” は、19世紀に数多くの聖歌を作詞したことで知られる
      セシル・フランシス・アレグザンダーの聖歌
      「All Things Bright and Beautiful(すべての輝ける美しきもの)」の
      一節からとられています。




      『Dr.ヘリオットのおかしな体験(集英社文庫) 』の冒頭に、この聖歌の
      一部が掲載されています。


              明るく美しいものすべて        All things bright and beautiful,

              大小あらゆる動物たち         All creatures great and small,

              見事なすばらしいものすべて     All Things wise and wonderful,

              どれもこれも神様が作られた     The Lords God made them all

      all things bright
      こちらは、子供向けの絵本の表紙。
      素敵なイラスト(*^_^*)


      All Things Bright and Beautifulの歌をお聴きなりたい方は
      こちらをどうぞ。(ジョン・ラター編曲バージョン)




      (おまけのおまけ)


      こちらは1960年代のラッシーのポストカード。
      ほ、欲しい・・・・。
      5494896364_6cdb212bb7.jpg
      [photo by janwillemsen]









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