ボイジャーレコード そしてグールドと犬
      2010 / 12 / 11 ( Sat )
      明日、クリスマスレクチャーを聴きに山中湖へ行ってきます。
      講師の佐治晴夫氏は物理学者で、「ボイジャーレコード」に
      バッハのプレリュードの収録を提案したことでも知られる方だとか。

      理科系の話題にとんと疎い私は、佐治氏についても
      ボイジャーレコードの存在も知りませんでした(^_^;)。

      「ボイジャーレコード(別名ゴールデンレコード)」とは、
      NASAが1977年、太陽系の惑星探査を目的として打ち上げた
      2機のボイジャー探査機に搭載された直径30cmの銅製のレコードで、
      金のケースに収められたものだそうです。

      _golden rec
      Voyager Golden Record


      ナントこのレコードは、ボイジャーがいつか、どこかで
      地球外知的生命体(!)や未来の人類に出会った時、地球上の人類や
      人類を取り巻く環境について知ってもらえるように・・・と
      期待して作られた、一種のタイムカプセルのようなもの。
      (うーむ、私にはもはやSFの世界・・・・)

      レコードの中には、122枚の絵や写真で太陽系惑星「地球」の環境、
      数の表し方,人類と文明,地球上の生き物などが紹介されている他、
      自然の音、音楽、世界中の60種類の言語などが、90分間録音
      されているのだとか。

      佐治氏の提案によってボイジャーレコードに録音されたバッハの
      プレリュードとフーガ 第1番の演奏は、天才といわれたカナダ人
      ピアニスト グレン・グールドによるもの。

      _glengold23.jpg
      Glenn Gould (1932.9.25-1982.10.4)

      バッハの偉大な演奏者として知られるグレン・グールド。
      デビュー盤『ゴールドベルク変奏曲』で天才ピアニストとしての名を
      世界中に知らしめた彼でしたが、人気絶頂にある32歳で突如コンサート活動から
      一切手を引き、50歳で亡くなるまでレコード録音やラジオ、テレビなどの
      放送媒体のみを音楽活動の場としました。


      極度の潔癖症、特異なこだわり、エキセントリックな言動などで
      知られるグールドですが、彼がとても動物好きで、
      死後、遺産のほぼ半分を動物愛護協会に寄付していたという
      逸話はあまり知られていないかもしれません。


      彼がとりわけ愛したのは犬でした。
      10代のグールド少年が、イングリッシュセッターの愛犬ニックと
      一緒におさまった写真はとてもほほえましいです。

      _grengold11.jpg


      _glenngouldpoochie.jpg
      楽譜の上にインコがいます。
      グールドは鳥も大好きだったそう。


      仲良く連弾。
      _grengold13.jpg

      ニックがちゃんと楽譜を見てるっぽいところがまたイイですね(笑)
      _grengold.jpg



      ニック亡き後、迎え入れた犬がコリーのバンクォー。

      グールド24歳の時、北米の演奏家としては戦後初めてソ連に招かれて
      演奏旅行に赴いたのですが(当時これはものすごい出来事!)、なんと
      グールドは、滞在地レニングラードから愛犬に手紙を出したり
      しています(笑)
      彼のお茶目な一面を物語る手紙の内容をご紹介しますね。



      バンクォー・グールド殿


      きっと君はソ連の犬について興味があるだろうね。
      けど、ここじゃ本当にほとんどいない。
      大半は戦争中に殺されてしまったそうだ。
      今じゃ、ペットを飼うのはとてもブルジョワなことだと
      考えられているらしい。
      それでもいちばんよく見かけるのは毛を刈りこんでいないプードル。
      雑種はいくらかいるけれど、コリーとおぼしきイヌは一匹もいない。
      君がここにいたら、わがもの顔で街を闊歩できるよ。

      今朝僕の部屋の外で猫が喧嘩をしていたけれど、
      これを君に止めて欲しかったな。

      お皿をきれいにして、いい子でいるんだよ。


                          グレン・グールドより



      ドキュメンタリーフィルム『グレン・グールド 27歳の記憶 』
      の中で、練習するグールドを見上げるバンクォーの姿が
      チラッと写されます。
      グールドは歌いながら弾くことで知られますが、バンクォーは
      決してグールドの「歌」や演奏に同調して鳴いたり吠えたりはせず
      演奏を邪魔しない賢い犬だったそうです。


      バンクォー亡き後、犬を飼うことはなかったグールド。

      ご興味のある方は、こちらの動画をどうぞ。


      『グレン・グールド 27歳の記憶』より。

      自宅でバッハのパルティータ2番「シンフォニア」を練習中の
      グールド。
      歌いながら自分の納得のいく音を捜し求める天才グールドを
      アクビしながら見上げるバンクォーがちょっと笑えます。



      孤高の天才ピアニストと称されたグールドが、最も心を
      許すことのできた相手は、ニックとバンクォーだったの
      かもしれませんね。

      歴史に残る希代のピアニストと彼に寄り添って生きた犬たちに思い馳せつつ・・・。

      _grengold6.jpg 


       『芸術の目的はアドレナリンの瞬間的な分泌にあるのではなく、


       驚きと落ち着きの状態をゆっくりと一生をかけて構築してゆくことにある。』

                                        (グレン・グールド)



       


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