犬のリハビリについて
      2010 / 07 / 12 ( Mon )
      W杯決勝戦は、延長戦の末、1-0でスペインの勝利。
      スペインの皆さん、初優勝、おめでとうございます!

      タコのパウルくん、またもや予想的中だとか。
      うーん、これもかなりスゴイ...。


      さて、今日は犬のリハビリテーションについて、少し
      触れたいと思います。

      リハビリテーションのモットーは「使わなければ失われる
      (Use it or lose it)」だと言われます。

      Use-it-or-Lose-it.jpg
      意味するところは、柔軟性は使われなければ硬化し、
      筋肉は鍛えなければ弱くなるというもの。
      つまり、逆をいえば「使えば失われない」。

      リハビリによって痛みが軽減し可動性がアップすることで
      犬の活動範囲も広がり、結果として犬の生活の質(QOL)が向上
      する・・・という好循環を達成することが、リハビリ療法の目指す
      ところだとあります。(ヘレン・ニコルソン著「Canine Rehabilitation」

      一般にリハビリの目的は「運動機能の回復」と言われますが、
      関節炎や骨折等を患った部位が、100%元の状態に戻ることは
      難しいため、ポイントは「いかに元の状態に近づけるか」に
      にあるようです。

      スイスでヒトと動物の理学療法士(PT)として活躍されている
      マルコ・モーエン氏は4月に東京で開催された犬のリハビリテーション
      講習会にて「最上の運動を得ることがリハビリの目的」と
      述べられていました。
      「最上の運動」とは、症状やその患犬ごとに大きく異なるため、
      リハビリのゴールも当然個々の犬によって違ってくる、と。

      「痛みの軽減」「柔軟性・可動性の向上」「筋肉の強化」
      「協調運動の増進」

      ゴールは犬によってさまざまですが、大切なことは
      「いかに問題なく最上の運動を行っていくか」にある、と
      おっしゃっていました。

      オーストラリア人の動物理学療法士ヘレン・ニコルソン女史は
      犬のリハビリテーションを行う際の重要なポイントを以下のように
      述べています。(参考: 『Canine Rehabilitation』)

      ①実施前に、必ず獣医師による詳細な評価と診断を受けていること

      ②リハビリを実際に行う者(理学療法士、動物看護士、セラピスト等)
       が十分な実地経験を積み、かつ有能な有資格者であること

      ③リハビリは、外科手術等の治療の代替とはならないこと

      ④リハビリの成功には、飼い主による「ホームワークエクササイズ」
       の実践が不可欠であること。

      ⑤リハビリは犬、飼い主、獣医師、理学療法士、動物看護士が一つの
       チームとなり、共に協力・連携しながら進めていく必要があること。


      ③に関しては、リハビリ療法は、獣医師による治療の代替ではなく、
      治療の効果を増大させる目的で用いられるということを理解しておく
      必要がある、と述べています。

      そして、リハビリ成功の鍵ともいうべき⑤の「チームワーク」。
      リハビリを行う者は、他の療法士、犬、飼い主と共にチームを組み、
      チームリーダーの獣医師の指導のもとにチームとして働かなくては
      いけない。
      チームメンバー各自が、それぞれの技量と限界を明確に認識する
      ことで、誤解や過度のストレスを防ぎ、チームワークあってこそ
      なせる最大の効果が得られる、というくだりが特に印象深いです。

      dog20rehab1.jpg
      [UC Davice]

      また、リハビリをスムーズに進めるためには、「問題を特定」し
      「治療経過を正確に把握し記録に残す」ことが大切だとあります。

      今回ベリーのリハビリでも測定された「関節可動域」は数値
      として記録されるため、リハビリの効果が把握しやすく、飼い主の
      モチベーション維持にも役立つのではないかと感じました。
      (ダイエットの体重測定と似ていますね。)

      その「関節可動域」の測定法ですが、ゴニオメーターという角度計を
      使い、四肢計12カ所の関節(※)の屈曲時と伸展時の最大可動域を
      測定します。
      看護士さんが二人がかりでがんばってもかなり時間がかかる作業(^^;)
      (その間、犬は四肢を投げ出して横たわっていなくてはなりません。)
      (※)測定する関節
      手根関節、肘関節、肩関節、飛節、膝関節、股関節

      関節可動域を測定中。
      IMG_0944_convert_201007121843012.jpg

      ベリーは、右後肢の伸展(後方にぐーっと伸ばす)時に、痛がる
      そぶりを見せました。
      (※二次的損傷を防ぐために測定は、極力おだやかに優しく行います)
      可動域もやや狭く、獣医師の診察時に後ろの右膝に「ポキッ、ポキッ」
      とクリック音がしたこと等を踏まえると、右後肢にもやや問題があり
      そう・・・。


      そうそう、ウォータートレッドミルについて、先のモーエン氏は、
      ウォータートレッドミルは獣医領域でもっと汎用されるべき、と
      述べられています。以下は氏のコメントです。

      (ウォータートレッドミルの主な利点)
      ・足への負重を簡単に制御し、手早く変更することができる
      ・体重を減らすことで、後肢を使わずに正しい歩様を促すことができる
      ・持久性も鍛えられる。(ジェット流が使えればなお効果的)

      (デメリット)
      ・水中で脚を前に出すことは、正確には体を前に押し出すことと
       同一ではない。トレッドミルでは推進力は生み出さない。
       ※ただし、ジェット流を使えば別
      ・犬が装置に慣れる必要がある


      氏は、関節症や麻痺など様々な症状の犬にウォータートレッドミルを
      使ったリハビリを行っておられるようですが、最大の利点は、
      特に肘関節疾患を患っている犬において正常な歩様を取り戻す
      ために必要な「減量」にあったそうです。

      その他、マッサージやストレッチ、温熱療法等にも言及されて
      いたのですが、それについてはまた後日ご紹介できたらと思います。

      ちなみに、モーエン氏は1997年のアジリティー世界チャンピオン。
      アジリティー競技者、審査員としても世界的に活躍されています。
      judge_marco_mouwen.jpg
      Marco A. Mouwen
      AKC HPより


      以下は馬に関してですのでご興味のある方のみご覧くださいm(_ _)m

      競争馬のハイドロセラピーが写真入りで紹介されています。
      温浴中の副交感神経活動の活発化や心拍数の減少など、馬への
      リラックス効果についてデータを交えて説明されていてなかなか
      興味深いです。
      (ファインモーション、ヒシミラクル、テイエムオペラオーなど、
       なつかしのお馬さんが登場しています!)

      JRA競走馬総合研究所常磐支所は、1963年の設立。
      東京ドーム約4個分の広さの敷地総面積に、温浴場、プール、
      ウォーキングマシンや、ウォータートレッドミルといった設備を要し、
      怪我で長期療養を余儀なくされた競争馬のリハビリテーションの
      一環として温泉療法を取り入れています。
      過去にはトウカイテイオーやオグリキャップもこちらで療養した
      ことがあるとか。

      JRA競走馬総合研究所 常葉支所「競争馬のリハビリテーション その1」

      JRA競走馬総合研究所 常葉支所「競争馬のリハビリテーション その2」


      こちらのブログでは、温泉療養中の馬の様子がご覧いただけます。
      「馬の温泉だより」
      (21歳のトウカイテイオーの元気な姿も載っています!)

      なんだか、いつにもましてまとまりの内容になってしまいましたが、
      最後までお付き合いいただきどうもありがとうございました!


      (おまけ)
      ストレスが時々お腹にきてしまうこともあるベリー。
      ハイドロセラピー後、お腹を壊すこともなくひとまずホッ。

      IMG_0218_convert_20100712184336.jpg
      でも、もう水槽には入りたくなさそうな雰囲気・・・・。
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      by: * 2010/07/16 13:02 * [ 編集 ] | page top
      --ありがとうございます!--

      そうでしたか!
      とても怖い体験だったこととお察しします!

      はじめて触られた犬がコリーだったとか^^。
      そのコリーさんのおかげで、犬好きになられたのですね♪
      本当に性格の優しい素晴らしいワンちゃんだったのですね(*^_^*)

      昔は人気犬種だったコリーも、今ではあまり見かけなくなりました。
      おしなべて、温厚で実に気立てが良いとても飼いやすい犬種なので
      もう少し人気が回復してくれるとよいな、と思います(^_-)

      心の込もった温かいエールをどうもありがとうございます!!
      はい、無理しすぎずファイトいっぷぁーつ!でがんばりまっす(*^_^*)
      by: だい * 2010/07/16 20:05 * URL [ 編集 ] | page top
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