馬と踊ろう (Dancing With Horses)
      2010 / 07 / 06 ( Tue )
      雨が降ったりやんだり。
      牧場の馬たちも、しばらく厩舎暮らしが続きそう。


      さて、先日ドッグトレーナーのシーザー・ミランについて
      少しご紹介しましたが、今日は馬のトレーナーのお話です。

      「ナゼに馬??」とハテナマークの方もおられるかも
      しれませんが、共にリーダー率いる群れで暮らす動物。
      犬と馬の訓練手法には一定の共通点もあると感じています。
      (ちなみに犬の群れは“pack”、馬は“herd”と呼ばれます。)
      私は、今日ご紹介するヘンプフリンク氏の最初の著書「馬と踊ろう」
      を読んだ後にシーザーの存在を知ったのですが、二人の発言には、
      共通することも多く、大変興味を引かれました。

      クラウス・フェルディナンド・ヘンプフリンク氏は、
      ドイツ生まれの53歳。
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      馬の調教師としては異色の経歴の持ち主で、大学で通信技術の
      学位取得後、教師、アーチスト、演劇のディレクターを経験し
      スペインのピレネー山脈で数年を過ごした後、ドイツに戻って
      先鋭的な演劇学校で教鞭をとりますが、29歳の時に再びピレネー
      に戻り、野生馬の研究と調教に取り組みます。

      ピレネー山脈で捕らえたばかりの若い牡馬を調教する日々の経験を
      通じて学んだ「信頼と服従関係の構築方法」はシーザーの犬の
      リハビリ手法と共通する点が多々あるように感じました。
      詳細は割愛しますが、例えば、群れのリーダーの行動を学び、
      身につけることで馬に対し優位に立ち続ける必要がある等々。

      野生の馬の序列争いを観察する中で、必ずしも強い馬、肉体的に
      優れている馬が勝つとは限らないことに彼は気付きます。
      最高位の馬の条件、それは「一見して相手を圧倒する強烈な
      存在感と個性を備えていること」と「非常に様式化された
      行動パターンを身につけていること」の2つでした。

      他者に有無を言わせない力強さと威厳は動物界において特に
      重要な働きをしていると彼は言います。
      相手を惹きつける個性や存在感、威厳を備え、超然としていながら
      思慮深く、経験に富んでいて知識豊か。
      これら精神的な「武器」は、肉体的な「武器」よりもはるかに強力
      だと述べています。
      (これは、シーザーがいつも口にする「常に毅然として
      穏やかな態度」にも通じる気がします。)

      そして二つめの「高度に様式化された行動パターン」とは、すなわち
      「ボディランゲージ」によって、力(暴力)に訴えることなく、
      自分の力を誇示し、地位を固めることができる能力、だとか。

      氏は、馬に騎乗する人は、自分自身のためにも馬のためにも、
      こうしたリーダー馬の資質を学び、身につける必要があると説きます。

      『支配する者が愛される』

      つまり、馬も犬同様、自分をきちんと支配する方法を知る人を愛する
      動物なのだ、と。
      (余談ですが、中世のヨーロッパで馬の扱いに非常に長けていたと
      称される「キャバレロ(騎士)」たちが最も序列の高い馬の行動を
      身につけることで、馬に対し優位に立ち続け、確かな主従関係と
      友情関係を結んでいたと彼は言います。)
      『服従させよ、そして愛せよ』ですね。


      また、「学ぶべきは人」というスタンスもシーザーと共通します。
      「馬の言葉(ボディランゲージ)」をヒトが用いることで馬は人間の
      世界で「理解されている」と感じる。
      問題があるのは馬ではなく、むしろ人間のほう。
      精神を集中して意識的にボディランゲージを用いること、
      さらにサインのしぐさから無駄を省き簡素化することの重要性を
      強調しています。
      どちらも一見乗馬とは無関係に見えるものの、こういった
      訓練を繰り返すことで感覚や感性を養い、繊細な勘をつけて
      おくことで後々の乗馬がスムーズにできるようになる、と力説
      しています。

      「馬とのかかわりで最も重視するのは、馬と一緒に過ごす時間
       そのもの。
       馬の言葉に耳を澄まし、馬の性質をきちんと把握する、
       馬から学ぶ時間である。
       馬に何かを教えてやろうなんて、ひどく傲慢な考えだ。」

      氏が提唱する調教方法では、信頼と服従の両方が絶対に不可欠で、
      しかもそれぞれ徹底することが前提条件。
      そして彼の特筆すべき点は、馬の行動の理由を探り、極力懲罰せずに
      簡素な方法で馬を服従させる方法を模索してきたことにあると
      思います。


      彼の調教では、馬が人間の指示を遠くからでも理解し、人間への
      信頼に基づいて即座に指示どおり行動することを重視しています。
      信頼を示す動作と、自らの意志による服従の動作を毎日のかかわりの
      中で繰り返し行う。

      これは、長年ヒトとの関係で問題を抱えた馬の場合特に重要な
      ことだとか。
      以下に紹介するムービーに登場する栗毛の馬「ヤノッシュ」は、
      長年人間の接触を拒み続けきた馬だそうですが、ヘンプフリンク氏
      の一番の相棒になりました。

      彼は言います。ヤノッシュのように、調教が難しく、理解すること
      自体困難な馬であっても、人間が理解し、馬の立場に寄り添った
      なら、難しい馬こそ実に忠実で意欲的なパートナーになる、と。

      ムービーはコチラ↓

      Hempfling - Dancing with horses II


      こちらでは、美しい白馬(アンダルシアン)にボディランゲージで
      「肩を内へ」や古典的高等馬術「ハイ・ルバード
      (後肢で立ち上がる技)」を指示(つまり馬が氏の動きを
       模倣)しています。
       確かに一緒に踊っているように見えますね^^




      「馬と踊ろう(原題:Dancing with Horses)」には身体を使った
      コミュニケーションについて豊富な写真入りで詳しく紹介されて
      います。
      恐らく日本にも関心のある方はたくさんおられると思うのですが、
      残念ながら、現在では翻訳版(非売品※)は手に入りません(>_<)。
      (※以前、講習会で配布するために日本競争馬協会が発行したもので
      現在協会にも在庫なし)本当に残念でなりません。
      英語版はアマゾンで入手可能です。

      Dancing With Horses: Collected Riding on a Loose Rein : Trusting Harmony From the Very Beginning



      「野心はひとまず忘れて、耳を澄まし、
       目を凝らすことから始めましょう。そして何より『感じる』こと!」
       感じる能力は、一人ひとりに神から与えられた贈り物です。
       自分自身を感じ、馬を理解することです。(中略)

       今、この瞬間を十分に生きる - そんな旅を始めましょう、
       馬たちから教わったとおりに。」

                 クラウス・フェルディナンド・ヘンプフリンク

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      クラウスさん、すごく垢抜けましたよね..。雰囲気がちょいワルおやじ。


      乗馬の世界では、“Don’t think but FEEL”(考えるな、感じろ)
      とよく言われるそうですが、なるほど深い言葉だなぁと。

      おっと、今回も超長文になってしまいました。
      犬の話題ではないものの、相通じるものを感じ
      この機会にブログで取り上げさせていただきましたm(_ _)m。

      いやホント、「馬と踊ろう」を必要としている人馬は日本にも
      大勢いると思われ・・・。
      オーストラリアで定期的にクリニックを開催しているそうなので、
      ついでに日本にもお招きできたらいいのに。

      オーストラリアでの活動はコチラのサイトを参照ください。
      Klaus Ferdinand Hempfling Australia

      (おまけ)

      こちらは翻訳版の表紙。
      IMG_0931_convert_20100707211359.jpg


      全編にカラフルな写真がふんだんに使われています。
      とても贅沢な作り。
      IMG_0925_convert_20100707211432.jpg

      どうしても日本版が見てみたい!という方、
      国会図書館には置いてあるそうです。
      その他の図書館にもひょっとすると置いてあるかもれませんので
      問い合わせてみてくださいね。
      23 : 51 : 15 | お馬さんの話題 | トラックバック(0) | コメント(2) | page top
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      コメント
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      動物は本当に頭良いですよね。
      人間よりも頭が良いと感じる事がよくあります。(苦笑)
      まず純粋ですしね。
      でも馬が犬と共通する部分があるとは知りませんでした。...φ(@@ヘ) ホォホォ...

      踊る馬も居るんですねぇ~♪可愛い★
      by: non☆(@'ω'@)たん * 2010/07/08 13:02 * URL [ 編集 ] | page top
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      nonたん さん、

      優れたトレーナーは、優れた観察者でもあるのでしょうね。

      馬術の種目で馬場馬術(ドレッサージュ)というものがあるのですが、超一流の演技は馬がまるで音楽に合わせてダンスを楽しんでいるかのようだとか!
      ここまでくると芸術ですね~(*^_^*)
      by: だい * 2010/07/08 16:01 * URL [ 編集 ] | page top
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