愛犬リー
      2016 / 09 / 01 ( Thu )
      20年以上前に、当時小学校四年生の女の子が亡き愛犬について
      書いた作文をご紹介します。

      こちらは平成4年3月8日に放映された、NHK教育テレビ「こころの時代」にて
      竹下哲氏(当時長崎県教育長)が紹介されたものです。

      篤信家のご家庭で育ったことも大きく影響したとは思いますが、
      わずか10歳の子が、ここまで本質を見極める直感力を
      持ちあわせていることに、ただただ恐れ入る思いです。



      「愛犬リー」

      昭和五十六年十二月六日。これは私の誕生日だ。
      私が生まれた時、もう既にリーは生まれ、家の家族となっていた。
      私はリーより二歳年下だった。
      まだ幼い私は、リーが家の犬だと知らなかった。
      私が四歳になった時、リーと見つめ合いながら写った写真が今でも残っている。
      世界中みな生きとしいけるものたくさんの生き物が生きている。
      その中で人間に生まれた私、犬に生まれたリーが出会ったのだ。
      とても不思議だ。
      その時はまだ若くて元気だったリーであった。
      しかしだんだん衰えていくリーの姿は不思議でならなかった。
      一日餌をやり忘れたこともあった。
      しかしリーは何一つはぶてなかった。
      (※はぶてなかった=文句を言わなかった。)

      そんなリーを見ていると、自分がとても恥ずかしかった。
      ちょっと嫌なことがあるとすぐはぶてる自分。
      なんと我が儘だ。
      ついにリーは目が見えなくなった。
      今までは目が見えていて小屋の中にウンチをすることもなかった。
      しかし目が見えなくなってからは、小屋の中にウンチをすることも
      たびたびあった。
      その目が見えないまま、三ヶ月が過ぎた。

      平成三年十二月二十三日。この日は天皇誕生日だ。
      朝なんともなく動き回っていたリー。
      それが夕方の四時十六分頃、私が見ていると、倒れてもがいていた。
      私はそんなに苦しんでいるリーをジッと見つめて、
      「リー頑張れ」と小さな声で叫んだ。
      リーは目は見えなくても、耳だけはかすかに聞こえていた。
      しばらくすると、リーは起きあがった。私は良かったと思った。
      そして私はしばらくその場を離れていた。そしてもう一度来て見た。
      するとリーは石段に首を垂らし、舌を出して息を引き取っていた。
      私はそのとき、何がどうなっているのかわからなかった。
      驚きのあまり腰を抜かしてしまった。
      リーが死んだのは四時二十分ぐらいだった。
      あんなに朝まで元気だったリーが死んだとはとても信じられない。

      私はリーが死んでからやっと気付いた。
      リーは私に「お念仏をしなさい」と教えてくれた。
      本当は仏さまなんだ。
      リーは自分の体を犠牲にしてまで教えてくれた。
      そのためにもリーの死をムダにしないためにも、
      お念仏でリーを思い出し、リーに厚く感謝しなければならない。
      私は今になってこう思う。リーはきっと死ぬ時に私を求めたに違いない。
      リー、ほんとにすまなかった。
      私はお念仏でリーとまた会いたい。
      リー、また親さまのもとで会おうね。
      さらばリーよ。



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